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遊びの経験が豊かな子は、
情緒豊かな子に育つ

ある調査によると、昭和30(1955)年ごろの子どもの遊びは、鬼ごっこ、なわとび、かくれんぼ、野球、ドッジボール、ゴムとび、まりつき、石けり、お手玉、ビー玉、めんこなどが上位にありました。

阿部 恵 あべ・めぐむ
道灌山学園保育福祉専門学校保育部長、道灌山幼稚園主事。保育者の育成に尽力しながら、保育に生かす技術や子どもとのふれあいをテーマに研究を続け、保育雑誌・書籍の執筆、保育者向け講習会、読みきかせ講習会の講師としても活躍中。パネルシアターの第一人者としても知られ、ペープーサートに関する書籍も多数執筆している。


その30年後の昭和60(1985)年の調査では、テレビを見る、絵本やマンガを見る、 ゲームをする、自転車に乗る、人形やロボットのようなおもちゃで遊ぶなどが上位にあり、戸外での運動的な遊びから室内での静的な遊びが多くなっていることがわかります。

そして、さらに30年以上たった今、公園などの遊び場から遊具が消えたり、空き地の減少、電子ゲームやタブレットの登場などにより、子どもたちの遊びを取り巻 く状況は大きく変化しています。

もちろん、タブレットをはじめとする現代の遊びがまったくダメということではありません。早いうちから電子機器や映像にふれることには、それなりのよさがあ るでしょう。

ただ、いくら時代が便利になっても、雨を降らせないようにしたり、台風が来ないようにすることはできません。自然と上手にかかわりながら、生活の知恵を身につけていくことは、昔も今も大事なことに変わりはないのです。

子どもたちは多くのことを遊びの中から学んできました。自然とふれあう遊びも そうです。大人から見るとつまらないようなことでも、自分が夢中になれば、なん でも遊びになるのが子どもです。

たとえば、土を掘ってみたら意外とおもしろくて、ずっと熱中して掘っている。 何かを探しているわけでなくても、そこに虫がいなくても、それはれっきとした遊 びになります。

あるいは、お散歩の途中で菜の花がたくさん咲いているところでチョウチョを見 つけ、「ひょっとしたら、アオムシさんがいるかもしれないね。のぞいてみようか」 と畑の脇でアオムシを探したとしましょう。

そこでアオムシを見つけても、見つけられなくても、『こういうところにアオム シがいるんだ』と、子どもなりに何かを感じとるきっかけになります。

また、石ころをたくさん集めて、抱えながら歩いたとします。もし、石が足に落 ちたらどうでしょう。すごく痛いですよね。そういうことを知らないと、それを投げて、人にぶつけても、当たった人の痛さは想像できません。でも、ぶつかった経験のある子は、痛いとわかっているので、人に石を投げるようなことはしません。

子ども時代には、遊びを通してたくさんの経験を重ねることが何より大事。その 経験がたくさんある子は心身ともに健康で、情緒豊かな子どもに育つのです。

遊びは子どもたちの
社会性を育んでくれます

また、子どもたちは遊びの中で失敗したり、大人に叱られることもあれば、ほめ られることもあるでしょう。

工作が好きな子がお母さんに「あれない? これない?」と言って、道具や素材を集め、一生懸命に工夫して何かを作ったとします。それを見たお母さんが「わあ、すごいのを作ったね!」とほめてくれたら、その子はうれしくなって、もっとすご いものを作ろうとがんばります。

つまり、遊びにはちゃんと見守ってくれる大人がいて、そこに理解があることも 大切。理解といっても保育者のようなプロでなくてもかまいません。お父さん、お母さん、おじいちゃん、おばあちゃんのやさしい目がそばにあり、危険を見きわめてくれる。子ども自身も身を守る知恵を身につけます。

集団や他者とのかかわりがある遊びでは、ケンカとまではいかなくても、多少の トラブルはつきものです。

たとえば、Aちゃんが遊びたいおもちゃがあるのに、Bちゃんからなかなか貸してもらえないときがあるとします。それはBちゃんがいじわるをしているのではなくて、Aちゃんが貸してもらうための手立てを知らないこと、そして、BちゃんがAちゃんの気持ちに気づいていないことにあります。

そんなとき、そばにいる大人がAちゃんに「Bちゃんに『貸して』って言ってみた?」「言ってなかったんだ。それじゃあ『貸して』って言ってごらん」と言って、Aちゃんが「Bちゃん、貸して」と言ったとします。するとBちゃんは「いいよー」と貸してくれるでしょう。大人は「よかったね。おもちゃを貸してほしいときは、『貸して』って言うと、お友だちがわかってくれるんだね」と言ってあげれば、子どもは社会のルールをひとつ学べることになります。

友だちとのぶつかりあいの経験が少ない現代の子は、社会性が欠如しがちといわ れています。インターネットで世界中とつながることができる時代であっても、それを培ってくれるのは仮想的な関係ではなく、遊びを通した他者とのかかわりや集団での遊びです。

たかが遊びと侮ることなかれ。子どもは、人間が生きていくためのすべてを遊び から学んでいると言っても決して過言ではないのです。(ライター:小山まゆみ)


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63号:雑誌コード 60047-35(メディアパルムック)
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